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舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2002.10.30掲載分)です。
最後の一音を空気のなかに放った時、新しいエネルギーが湧いてきました。ただ消耗 するだけではなくて、やり終えて次に向かえる力のようなもの。マネージャーさんの 「まいさん、これをやったんだから、もう恐いものありませんね」の言葉に素直に頷 けました。私の事務所でも、未だかつてこのようなオファーは受けた事がないという くらい、演奏者にとってはとても過酷な依頼ですが(笑)ある意味これ以上ないくら い幸せな申し出でもありました。ここ何日かは毎日実習が終わって家へと急ぎ、夜中 12時くらいまでハープの練習という事の繰り返しでした。いくら防音室とは言え階 下の人もさぞうるさがっているだろうと心配しながらもずうずうしく弾いていました。 昼間の実習でメスやピンセットを持つ為か親指が痛いのも心配でした。机の上のテキ ストブックを横目で見ながら「勉強した〜〜い」と思いつつ、狭苦しい防音室に入る 毎日でした。どれだけ大変かは十分に予想がついたので、一度は通常の形のコンチェ ルト一曲という事にしてもらえるようにお願いしたのですが、どうしても後半全ての 曲に絡むようにと申し出て頂いたので、結局コンチェルト二曲とタイス、そしてオー ケストラのコンサートの場合、最後はオーケストラのみの演奏で終わる所を、オーケス トラの中で弾くべき花のワルツをそのまま、コンチェルトのような形で弾く事になっ た訳です。
ハープの場合(多分どの楽器でもですが)、コンチェルトを一曲弾くとかなり腕が疲れ ます。ですからゲネプロ(本番前のリハーサル)が終わった時、既に結構疲れていまし た(笑)。でもソリストの方はどなたもそうだと思いますが、本番に必ずピークをもっ ていきます。よく緊張という言葉を勘違いして理解されている方がいますが、本番で 緊張しなかったらまずよい演奏はできないと思います。これは演奏家の皆さんが言う 事です。本番とは緊張の中で集中していくものだと思います。それまで、何があろ うが、指がひりひりしようが、腕がちぎれそうだろうが、本番になれば忘れます。 この一瞬の為にやってきたのですから、舞台の上では曲の事しか考えていません。見 ている方がどう感じているかは別として、二割くらいの自分自身を客観視している自 分がいますが、指揮者と目を合わせた後はすっと曲に入り込んでいきます。そうでな かったらお金を頂いて演奏なんて恐くてできません。
(私が天を仰いでいるようなかっこうをよくするので、気になった方がいらっしゃる ようですが、すみません、あれは私のくせです。あれが好きな方もいて、パイヤール室 内管弦楽団の団員さんにその瞬間の写真を撮られた事があります(笑)。昔からやっ ています。今の所直す気はないです、ごめんなさい(笑))
演奏に関する感想は人それぞれ、自由なものであるべきだと思いますが、日フィルさ んの名誉の為に言わせていただけば、日本フィルの管楽器はオーケストラの中ではと くに高い評価を受けています。指揮者の飯森さんも若手の指揮者の中で今、実力、人 気ともに凄い方ですが、彼も日フィルの管は素晴らしいと言っています。まあロドリ ーゴのコンチェルトセレナータのような曲は芸大の作曲科を出たような人でも音が間 違ったまま録音しているなんて、ありえない事を思う人もいるくらいの曲なので、皆 さんのレベルが分かりずらい所はあるでしょうが...。日本で名の通ったオーケス トラの団員になるのは、かなり大変です。オーディションを受けて受かるのも大変で すし、さらに受かっても、試験期間が3ヶ月あって、その後他の団員による投票なん て事もやっていました。私は自分が出るコンサートのリハーサルの最中に演奏が駄目 でクビにされたチェコの人を見た事があります。それにしても、ロドリーゴは、なん であんな和音にするんでしょうかねえ〜。あれがとても好きだという人もいますが、 私は素直に綺麗なものが好きです。
ハープの音量が小さいと思う方は多いと思います。これはこの楽器の宿命ですが、 それよりもっと音量のないギターの方達の様にマイクを楽器に仕込む事はまず皆さん されないと思います。古くから存在する楽器としてなかなかそれはやりずらい事です。 (エレクトリックハープなんて物もあるんですけどね)。誰か、めちゃくちゃ音量の あるハープを改良して作って下さいませんか?
それにつけても、あの小さい体で大きな音量を持つバイオリンというのは素晴らしい 楽器ですね。
オーケストラとハープの為にかかれた曲がある以上、そしてそれを聴いてみたいと思 う方がいれば、やはり演奏する人間もいる訳です。
ロドリーゴの編成が少なかったのは、音量もありますが、むしろ弦(バイオリン、ビ オラ、チェロ)の方の一人一人もっと突っ込んだ、アグレッシブな音が欲しいと言う 事で直前に指揮者がわざと減らしました。
とにかく、演奏を終えて、お客さんは勿論ですが、音楽を知り尽くした厳しいスタッ フに喜んでもらえて良かったです。
突然ですが、私の父は「頑張る」という言葉が嫌いで、家ではあまり使われません。 そのせいか私も本当は「頑張って下さい」という言葉が好きではないのですが、他に かわる丁度良い言葉がみつからなくて、人に「頑張って下さい」と言ってしまいます。 本当はなんだって、自分が今、必要だと思う事を自分の為にやる訳で、それを頑張る という必要はないですよね。本来は当たり前にやるべき事なんだから。自然に行うべ き事なんだから。自分で言いながら、この言葉は人に向かって言うべき言葉ではない と時々反省します。言うなら自分自身に向かっていうくらいでしょうか。「しっかり しろ」とか「もっとやれるだろう」とかの意味で。でも又使ってしまうんですよね、 きっと。何かもっといい言葉はないでしょうか??
叉又突然ですが、私の結婚相手に村上春樹さんを推薦していただいたのですが(村上 さんすみません、勝手にお名前を使わせていただいています)、どこで、どうなって村上 春樹なんでしょうか?凄く知りたい。そして、何故、窪塚という人が嫌われるのかを..。 ちょっと分かるような気もしますが..。
それにしても、何故、村上春樹なのか....謎は深まるばかり。
弟はとうとう片足を上げてあれをいたすようになりました。何度も何度も紅葉の木に かけて練習をしているので、木は今にきっと枯れるでしょう。やっぱり片足上げてで きるようになると自分でもカッコイイと思うんでしょうかね?凄く生意気に見えます。 ルルちゃんの他にナナちゃんとかいう子とも友達になっていました。次はモモちゃん か?
白馬は雪降ったんでしょうか?私は子供の頃あそこの教会で白いドレスを着せられて 花嫁さんの裾を持って歩いた事があります。あの時の神父さんのお話がめちゃくちゃ 長くてしかも訳が分からなくて辛かったのを覚えています。でも凄くいい結婚式でし た。神父さん以外は最高でした!!
それでは私は明日から解剖実習に没頭したいと思います。おつき合いありがとうござ いました。
よし、村上春樹みたいな人を探すぞ!!(嘘です)。竹松 舞
(2002.10.30掲載)
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