舞さんからのメッセージ
 

 

 舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2002.10.14掲載分)です。

 

 

 目の前の白い布切れの作り出す凹凸は、はっきりと、そこに「人一人」の存在を伝え てきて、私の心臓はどきどきいいます。午前中、先生が講議の中で「そこにある献体を して下さった方の御遺体にあった人生の重みを感じる事ができなければ、この解剖実習を 行う価値は、半分もなくなってしまう」とおっしゃった言葉が、私の心臓をいつもよリ 大きな音で脈打たせているのです。献体をして下さる方の会から来て下さったお婆様が、 講議の中で御自分の暗く辛い人生を語られた後に、「献体というものを知った時、何度か の手術で、臓器の幾つかを失っている、こんな私でも人のお役に立てる事があるのだと 分かった」と話された時は飲み込んだ石が胸の所でつっかかってしまったようで、何の 言葉も出てきませんでした。
 今迄、独りよがりに好き勝手、自分本意に生きてきて、「献身」という言葉の存在を 本当の意味で感じた事などありませんでした。何の見返りも求めない「つくす」とい う言葉の生きた証拠を見せつけられて、私はただ、あっけに取られてしまいました。 こういう方がお一人ではなく何十人何百人といらっしゃって、初めて私達の勉強が成 り立つ訳です。
 そう考えると、今もの凄く幸せなんです。友達と「うちら(何故か関西弁)ほんとに、 幸せだね」としみじみ語ります。毎日、けっこう疲れるのですが、気持ちが満ちたり ています。勿論ずっとドキドキしっぱなしではなく、最初のメスを胸に入れさせても らった後は淡々と作業は進められていきます。三、四人で一遺体の表層を血管や神経 を傷付けないように剥がしていきます。途中で失神する人も気分が悪くなる人もなく、 体の外側から中へ、この実習は来年の二月まで続きます。
 それにしても、毎年毎年、同じ様に新しい生徒に解剖の講議と指導をなさっている教 授が、どんなに慣れても又新しい気持ちで、この実習の重さを説かれる事が凄い事だ と思いました。その言葉にはしっかりと、演技とは思えない深さがありました。

 幸せではあるのですが、演奏会の事を考えると、時間が厳しくて気分的に追い込まれ る事もしばしばです。通常のクラシックのコンサートではソリストはコンチェルト一 曲というのが当たり前なので、今度のコンサートは、自分にかかってくるウエイトを ずっしりと重く感じます。試験が終わってすぐ、実習が始まり、コンサートもかなり ハードなものなので、悲鳴を上げそうな時もあります(笑)。
 自分の希望がなんでも通る訳ではないので、こんな事もあるんですね(笑)。

 あまりテレビを見ない私ですが、久しぶりに織田裕ニのドラマを見ました。このドラ マは同級生の中でも注目度が高いのですが、「〜奴がいる」よもう一度という気持ち の人ばかりですが、かなり違ったものになりそうな感じです(涙)。中学生の頃織田 裕二のファンだと言うとよくばかにされたのですが、その頃からのファンが今は多く て嬉しいです。でも、織田裕二に主題歌を歌わせるのは危険なので、やめてもらいた いです。私は普段の織田裕二のファンではなくて、役者織田裕二が「演じているその 人」のファンなので、イメージを壊さないで頂きたいです。

 龍之介は最近不良で、朝から晩迄外に居ます。家の前を散歩する人とワンコ仲間に会 うのを、とても楽しみにフェンスの外を眺めています。おかげで、「晋平ちゃん」 「けんちゃん」という牡のお友達と「ルル」ちゃんという牝のお友達ができました。 ルルちゃんはかなり積極的で龍之介は狙われています。家にいつもいると、ハープと、 椅子の間に座るので、ペダルの踏み替えがやりにくくてしょうがない時があり、ついで に足の先を舐めたりするので、あまり気持ちよくなかったりという事もあるので、 練習ははかどりますけどね。
 都内某所の「太郎ちゃん」というワンコはお元気でしょうか?

 私はおでこに口が有ります(笑)。頭には鳩も飼っていますし(笑)。
 おでこには、よ〜く見ると髪の生え際くらいの所に、二歳くらいの時、転んでピアノ の角で切った傷があります。この時は局所麻酔で十分の傷だったのですが、私があま りに暴れるので、なんと全身麻酔をしてやりました。親は傷より何より麻酔の方が心 配でしょうがなかったようです。親という者は身内の治療が一番苦手らしく、別の先 生がきれいに縫合してくれました。少し本人に自覚させて大人しくさせる為にという 事で、小さい傷に包帯をぐるぐるまかれて、一見大怪我状態で帰宅し、近所の人達を 心配させたものです。麻酔から覚めた時真っ先に食べたかった物は甘栗でしたが、直 ぐ近くに売っていないので、その時来た焼き芋屋さんから、「焼き芋」を買ってもらっ て食べました。焼き芋と甘栗って似たような味がするんだとその時思ったのもです。

 映画はこれからもばんばん見ようと思っています。でもこういう物は本当にその人に よって感じ方が違うので、意見を言い合うと凄い事になりそうです(笑)。
 シェークスピアは難しいですね。私の曾祖父さん(母の祖父)はシェークスピアを本 箱に揃えていたようです。

それでは又次回まで。

竹松 舞

(2002.10.14掲載)

 

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