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舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2002.8.28掲載分)です。
緑の絨毯の上に黄金の小さな実がいくつもいくつも日の光に輝いています。黄金の 殻を開けると、中から半透明の美しい白いお米の粒が出てくるんですね。見上げれば、 秋はまだだと言わんばかりに蝉が必死に最後の声を上げています。それでも、いつの 間にか、ヒグラシの声に圧倒されて……それでも、みんな必死に生きててえらいです。 自分の生を全うしてて、あっぱれです。
新しいアルバムが出ました。今回は発売まで、自分で音のチェックが全く出来ないま ま21日になってしまったので、CDを聴いて下さった皆様が初日に聴かれたのと同じ 日に、初めて自分のアルバムを聴く事になりました。最初に聴いた時思った事は「井 上さん色のアルバムだな〜」でした。当たり前ですよね、総ての曲のアレンジャーは 井上さんなのですから。井上さんのお友達の、沢山の音楽を聴いてきて、自分でも作 り上げてきて、知識も経験も豊かで、どこか余裕の部分で、音楽を作っていけるメン バーが、集まって、一緒にやって下さったので、それはもう、大人の世界です(笑)。 私はまだまだ、未熟者で、どこか、とんがっていたいので、「ここは、切々と訴えた いのだ」なんて思って、弾いていたつもりが、聴いてみれば「どう、どう」と、暴れ 馬がなだめられるように、柔らかくほんわかと周りに包まれてしまったような感じの ものもあります(笑)。ハープという楽器を初めて手掛ける方がハープの曲を作った り、編曲したりするのは、本当に大変で、弾く方も物理的に不可能に近い事をしなけ ればならない場面が多々あって、苦労したアルバムですが、聴いて下さる方々がいて 嬉しいです。CDジャケットに関しては、裏側の弦越しの写真が好きで、後は自分じゃ ないみたいだと思っています。普段、友達や仲間で撮る時の顔と、どうしてこんなに 違うのだろうかと不思議ですが、どんな顔でも自分の顔なので、文句は言えません (笑)。私の意見は尊重してもらえますが、これだけは嫌だと思う写真も使われる事 があります。何と言っても、CDを作るのはレコード会社なので、デザイナーさんと会 社内の意見で色々決まります。写真を選ぶという時は本当に好みによってみんな意見 が違います。私は自分のセンスが一番いいと思っていますが、多分どの人もみんな同 じ事を思っていると思います(笑)。悲しい事ですが、自分で100%満足のいく物 なんて作れないのかもしれません。
今、私がこうして、パソコンに向かっている間、龍之介が、私の足に、よだれで、べ とべとになったブタのぬいぐるみを、押し付けてきます。「自分と、このぬいぐるみ の取り合いをしろ」という意味です。取り合いには2種類あって、ぬいぐるみを持っ て逃げる自分(龍之介)を追いかけて来いというのと、その場で引っ張りあおうぜと いうのの、2パターンです。最初のがやりたい時は、ぬいぐるみを足に押し付けて、 私に気付かせた後、少し後ろを振り返りながら、自分から軽い、駆け足を始めます。 これをする時は、可愛くない事に、私が直ぐ捕まえられるくらいの、ゆっくりの走り をしていながら、手が触れそうになると、素早く体をかわします。あとは、時々ウォー ムアップの為に目にも止まらぬ速さで、ダッシュして家の中を一回りして、戻ってき て同じ事を繰り返します。後のパターンは、ブタを持って、私の膝に乗ってきます。 敵の膝の上で、ぬいぐるみの取り合いなんて、きいた事がありません。普段、全然吠 えない龍之介は、この時、いっちょまえに、吠える練習と、「ウーウー」と唸る練習 をするのですが、ぬいぐるみを喰わえながら、吠えていて大変なのに、ババが教えた 「りゅうちゃん、お手は?」と言うと、ちゃんとお手をします(笑)。このお手に関 しては、「待て」とか、「よし」とか、「持って来い」とかと違って、意味がないの で、おばーちゃんが教えている間、みんなで、「古臭い」とか「犬が何の為にやらさ れているのか分からないだろう」とか、文句を言っていたのですが、「お手」と言っ て手?を乗せてくると、とても可愛らしいので、ほっぺを挟んで、もみくちゃにしな がら褒めてあげます。
この子がなぜ、正式に我家の長男になったのかというと、簡単に言ってしまえば、私 が龍之介とは離れられないだろうと、ジジババが思ったからです。「龍之介を手放せ ば、きっと我慢できなくなって結局又新しい犬を探すだろうから、こんないい犬とは なかなか出会えないんだから、それくらいだったら、この犬を連れていきなさい」と いう事です。本当は、龍之介に恋し始めていた、おばーちゃんが、凄く可哀想で、帰 りの車の中で自分を何度も責めたのですが、結局連れて帰ってきてしまいました。ジ ジババの所へ行く時は何時も夏で、そして、帰る時は秋です。その間、たった一週間な のに、私にとって、行く時は夏、帰る時は秋なのです。今回はさらに、龍之介で秋が 深まって、どうしようもなく、せつない気持ちになりました。今度は龍之介を連れて、 もっと短い時間でも、会いに行こうと思います。
今回は龍之介が我家の跡取りに決まった御報告をして終わりとさせていただきます。 それでは、次回まで、ごきげんよう。竹松 舞
(2002.8.28掲載)
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