舞さんからのメッセージ
 

 

 舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2002.8.9掲載分)です。

 

 

 お店の自動ドアの前の足ふきマットの上で、蝉の死骸を踏みそうになって、どきっと した後、ふと見上げた木の中から、まだ力の限り鳴き続けている蝉の声を聞いて、 「夏なんだ、去年の夏も蝉が鳴いていて、その前の年も、その前の年も、私が小学校 の時も、幼稚園の時も……」と、不思議な感慨に浸ってしまいました。時間は流れて いて、蝉も毎年違う蝉で、でも、夏には蝉が鳴いている。同じ匂いがするような気が します。
 夏休み中の主な演奏会が終わりました。7月中に行われた読売日本交響楽団さんとの コンサートに気持ちが集中していたので、8月のガラコンサートの事は、正直言ってすっ かり頭からとんでいました。ばちがあたったのか、読響さんとのコンサートが終わる と、気持ちの緩みの為に体調をくずし、フルートの方達との合わせの練習もキャンセ ルして、私が出られるか、主催者さんを心配させてしまいましたが、鼻水が止まらな いハ−プ弾きとして、出させて頂きました。肩の出る衣装は厳禁で、袖がある物を着 させて頂きましたが、渋い色が好みの、コシノ ジュンコさんが私が17歳の時に作っ て下さったものなので、噂になっているようなチェックの模様だと私も嬉しいのです が、残念ながら、何かの鳥がとんでいるような柄でした。私もチェックだったらいい のにと思います(笑)。靴も実は黄色茶色、どれでも似たような物ですが、本当は金 色なんです(笑)。光っている靴を履いているつもりだったんですが、茶色に見えた ら、それはやはり茶色で正解です(笑)。このコンサートは普段私がやらせて頂いて いるようなものと随分雰囲気が違っていて、舞台の袖にいるスタッフの方もオーケス トラについていられる、ステージマネージャーさんとは違っていて、ハープを運ぶの に慣れていないので、私のハープは舞台に出る前に3度ほど、破壊の危機に瀕しまし た。その度私の事務所のマネージャーさんの顔が曇っていって、本当は私のかわりに、 相当、怒ってくれていたと思いますが、顔には出さずに、ハープを運べる専門家を自 分の采配で呼んで下さって、直ぐに対処してくれました。楽器は壊されると、いくら 同じ金額の新しいハープを買ってもらっても、音がよく鳴るようになるまで、そうと う弾きこまないと好きな音になりません。弾けば、弾く程、よく鳴ってくれます。だ から、壊されてしまうと、2度と、同じ楽器は手に入らない事になります。事務所の マネージャーさんと他の仕事をキャンセルして急遽駆け付けて下さった、ハープ運搬 の専門家に感謝です。
 読響さんとの演奏会は道路が混んで大変だった事以外は、何も問題がなく無事に終わ りました。読響さんの練習場はジャイアンツの寮の隣にあるのですが、とても立派な 建物で、綺麗な練習場でした。最初のコンサートは東名高速を使って向かう人が多かっ たのですが、海に行く人で無茶苦茶な混み方で、指揮者の現田さんは、路肩を走って きたと言っていましたし、団員さんの一人は途中で車を乗り捨ててきたと言っていま した。でも皆さんプロの集団なので、何事もなかったかのように、時間にはびしっと されています。このロドリーゴのセレナータという曲は読響さんは、初めての曲だと いう事ですが、音楽家でもあるマネージャーさん曰く、特に、トランペット、ホルン の方達は、できれば、やりたくないと思うくらい難しいものらしいです。指揮者さんに とっても、嫌な曲の一つのようでした。ハープを弾く人間にとっても同じで、 CDを聴きながら、頭の中でペダルの動きを追っている時に、一人で、「ありえな〜い」 と叫んでいました。では、何故これを弾いているかと言うと、きっかけは指揮者の岩 城さんが、御自分のコンサートの時にどうしても「この曲で」という所から始まって います。私も一度は好きになった曲なので、なんとか、付き合って行こうと思います。
 コマーシャルの曲ですが、あれは短かすぎてなんだか分からないと思いますが、30 秒バージョンで聴くと(放送はされていません)パイらしい、可愛い、綺麗な曲です。 朝川さんという私の一枚目のアルバムのエンジェルを編曲して下さった方が作曲され ています。録音は大学の授業が終わってから、青山のスタジオで、夜8時のスタート で行いました。事前に頂いていた楽譜はほんの一部である事がその場で分かったので すが、隣で、朝川さんがつきっきりの指導で、私が、その時、始めてお目にかかった 新しい音の譜を、次々とパイのように5回くらい重ねてとっていって、一つの曲にし ています。ですから、あれはパイの曲です。朝川さんは芸大の作曲科を出られた方で すが、ハープが本当にお好きな方で、殆ど、毎日のように、録音や作曲、編曲のお仕 事をされている、超がつく売れっこです。彼のモットーは「自分で作った曲は自分で 演奏する」という事なので、エンジェルも一緒に弾いて下さっているのですが、今回 のパイの曲は指導だけなので、めずらしいです。朝川さんと、お仕事をすると、ハー プの弦の種類の選び方や、ハープ関連グッズのお話や、録音の時の裏わざ奏法なんか を教えて下さるので、勉強になります。
 私の弟の龍之介が里子に出される日が近づいてきています。日々離れ難くなってきて いて、可愛くてたまりません。大人しく爪を切らせるし、耳掃除もさせるし、軟膏も 塗らせるし、目薬もささせます。本当にいい子で、いい子で、そこら辺の幼稚園児に は負けません。何かで凄く吠えていたので普通の声で「うるさいよ」と一言、言った ら、高い鼻を斜左下にうつむけて、しょげてしまいました。犬は吠える事しかできな いので、何か言いたかったのでしょうから、可哀想な事をしてしまいました。暑さに は弱いのがワンコで、夜、エアコンの風は冷たいので、扇風機が役立っていますが、 最近扇風機の真ん前で、顔中、体中の毛を風になびかせています。ただ、一つ、どう してもまだ、幼稚園児に適わないのが、固形の排泄物を決められた場所でやれない事 です。と言っても、彼なりに、自分で、決めている事があるらしく、おしっこと、う んちは別々の場所ですると神に誓ってしまったらしいのです。ですから、排泄物全般 にお使い下さいという意味で置いている、マットの上には、おしっこしかしません。 一人でだまって、そっと何処かで、いたしてくるので、気が付くと、「アッッかりん とうが二つハープの側に、アッッ玄関に……」となるので、いただいた花束のゆりの 花弁なんかが、少し、茶色くなって落ちていたりすると、「すわっ、新たな、かりん とう発見か?」となり、絶対に口にする事のできないかりんとうの幻覚を見るように なってきています。龍之介はもともと牛を追う犬種なので、走る練習は、ばっちり毎 日欠かさずやって、いつ、牛を追うお仕事を頂いても良いようにしています(笑)。
 それでは、暑い夏を元気に乗り越えられますように。
 夏休みの方は良い夏休みを。

竹松 舞

(2002.8.9掲載)

 

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