舞さんからのメッセージ(2001.8.14)
 

 

舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2001.8.14掲載分)です。

 

 

 関東地方は殺人的な暑さで始まった夏も、ここへきて少し手加減をしてくれているのか、はたまた最初にエネルギーを使いはたしてしまったのか、ここの所秋かと思うような涼しい日もあって過ごし易いのですが、、、そうそう、先日とんぼを見かけましたよ。本当に季節は巡ってくるんですね。毎年同じ事が繰り返されるようでいて、本当は同じ事なんて一度もないんですよね、必ず変化してるわけです。庭の木の同じあたりに卵を産みつける「かまきり」も年が変わったら前の年と違う「かまきり」が卵を産んでいるわけで、見ただけでは、その違いがよくわからないのですが。
 レコーディングが終わりました。今回は妥協という言葉はいっさいない、満ち足りた気分で終える事ができました。こんな事は色んな条件が全て揃わなければ感じられないものでしょうから、ホールの音の響きの良さ、指揮者の方の力量、オーケストラの方達の上手さ、ディレクターさんの力、ミキサーさんの腕の良さ。最高でした。音を撮りながら製作者側のディレクターさんやミキサーさんが自ら感動して下さったので、きっといいものが出来たのではないかと期待しています。詳細は写真入りでコロムビアのディレクターの岡野さんが自分のホームページに載せて下さっていますが、私もちょっと書いてみたいと思います。

 初日、私は予定より道が空いていたので、一時間程早く横浜のみなとみらいホールに着きました。すでに大勢のスタッフの方たちが機材のセッティングの為にかけずり回って下さっていて、ここでもう感謝ですね。ステージを真っ先に見て、とても立派で音の良さそうなホールで、ここで録れる事に又感謝。そしてコンサートではないけれど私を元気づける為に素敵なお花を届けて下さった方に感謝しています。私はオーケストラの方と指揮者の飯森さんがみえるまで楽屋で指ならしを始め、少しずつ録音の雰囲気に入りこんでいきました。演奏会とは違った緊張感がそこにはあります。録音はどんな音も拾ってしまいますから、勿論空調は切っておかなければなりませんから夏は暑く、冬は寒いです。私のハープの椅子はギシギシうるさいと言う事で、ホールの備え付けの椅子に変えました。

 皆さんが揃って、録音が始まると同時に神経もぴんと張った感じになり、日本フィルの方と演奏している時は、呼吸まで一緒にしているような、お互いの息遣いを感じながら体全部が耳になったようで、相手の音楽をどんな小さな音も聞き漏らさないように、たぶん自分のなかでは極限に近い所まで集中していたと思います。指揮者の飯森さんがまた素晴らしくて、私は「題名のない音楽会」で17歳の時ヘンデルを振っていただいて以来の共演でした。確かドイツのオーケストラの音楽監督もされていて、超多忙な指揮者ですが、細部にまでとことんこだわって下さって本当によくまとめて下さいました。
 今回、日本フィルの方の演奏は本当に美しくて、弦を左手の指でしっかり捉えて揺らしながら右手で弓を長く引いては、柔らかい手首が弓を返すさまを目の端に捉えると、こんなに美しいものを作り出す人達に何か感動に近いものを覚えてしまいました。そのきれいに紡いだ音の上で、私を自由に泳がせてくれる感じが本当に好きで、現時点では私の中ではやはりコンチェルトが一番好きな音楽です。

 3日間で全て取り終えてから、ディレクターの岡野さんが「今回舞ちゃんが何でコンチェルト録りたいって言うか分かったよ、また録りたいね」って言ってくれた時はやったー!と思いました。立派なホールを使って、オーケストラと一緒にレコーディングをする、そしてたくさんのスタッフの方が関わって下さっている、、そう考えると本当に贅沢な話です。
 3日間が終わって腕も足もだるく、指も痛く、本当に全部出し切った気分です。録音までの何日間は御飯の時間まで削って、寝ても覚めてもレコーディングの曲の事を考え、ハープに向かってきて、やっと出来上がってみると(勿論この後制作側の方が録音を聞きながら細かく色々チェックを入れて最終的に出来上がるまで人の手を経ていきますが)太陽の下で身を焦がすような夏休みではありませんが、なんだか幸せです。
 幸せな気分はその日一日だけで、さて又次の事に向かいます。それでは次回までお元気で!!

(2001.8.14掲載)

 

2001.8.1掲載分

2001.7.19掲載分

2001.7.7掲載分

2001.6.28掲載分

2001.6.21掲載分

2001.6.14掲載分

2001.6.6掲載分

2001.5.30掲載分

2001.5.23掲載分

2001.5.10掲載分

2001.4.14掲載分

 

 トップページへ