舞さんからのメッセージ(2001.7.19)
 

 

舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2001.7.19掲載分)です。

 

 

 とうとう夏がやってきましたね。私は友達より2日早く夏休みに入りました、と言っても2日間は厳密に言うとさぼりと言う事になります。自分にとって夏休み前の日の授業が終わってから夜の飛行機で札幌へ飛びました。NHKのお仕事でPMFを皆様に紹介すると言う役を仰せつかったので2泊3日、爽やかな札幌で過ごさせて頂きました。PMFと言うのは御存じの方も多いかと思いますが、パシフィック ミュージック フェスティバルの事で、世界の若手音楽家の育成を目指して出来た国際教育音楽祭で、先頃亡くなられたかの有名な指揮者レナード バーンスタインさんの提唱で1990年に始まったものです。芸術監督には、サンフランシスコ交響楽団音楽監督のマイケル ティルソン トーマスさんとNHK交楽団音楽監督のシャルル デュトワさんがあたり、PMFアカデミーの参加者は、世界各地で実施されるオーディションで選ばれた約117人ほどの18歳から29歳までの若い演奏家達です。この演奏家達が札幌に集い、ウィーン フィルの主席奏者ら、世界一流の音楽家とともに1つの音を作り上げていきます。私はこの今年のPMFの案内役と言う事で、シャルル デュトワさん、ウイーン フィルのメンバー、若い音楽家達へのインタビュー、ナレーションを行う進行役のような事をさせて戴きました。お話をいただいた時は、去年されたと言う千住真理子さんのようにきちんとやれるか心配だったのですが、始まってみると優しいスタッフの方達に恵まれ、とても楽しく2日間のお仕事ができました。デュトワさんは女性にはとても優しい方らしく演奏の後でとてもお疲れの所でしたが、にこやかに、温かく快よくインタビューに答えて下さいましたし、世界の10代20代の音楽家達もそれぞれこの機会をとても楽しんでいるようで好感が持てました。アジア系の人達はちょっとシャイでマイクを向けても恥ずかしそうで初々しかったです。そして何よりめちゃめちゃ美味しいソフトクリームとアイスクリームパフェに感動して帰ってきました。
 ところで、ソフトクリームより何よりこのPMFの存在の重要性についてですが、こうやってクラシック音楽を若い演奏家が愛し次の世代につないでくれないとこれはいつか消えていってしまいますよね。勿論レコードやCDという形で残るのだとは思いますが、近年ヨーロッパのクラシック離れは日本のそれより更に早いスピードで進んでいると聞きます。日本で考えても純粋なクラシック音楽が若い人達の間でどれだけ受け入れられているかと言えば、本当にごくごく少ない、一握りの人に限られているように思います。リズムが生活のテンポに合わないのか、音の並びに新しさを感じないのか刺激的でないのか、又演奏する立場にたてば、楽器を演奏する技術を修得するのにかなりの時間、鍛練を積まなければならないなど、大変なわりにポップスやロックのギター奏者のようにカッコイイとは言われないなど、探したらいくらでも理由はあげられます。それでもやはりクラシック音楽は解釈の違いが多少あっても、作曲者が作った時の音になるべく忠実に楽譜どうりに演奏するべきもので、演奏者の個性とか音楽性をそこにどう折り合わせるかという事ですから、もっともっと新しいものが欲しいと思っている人達にとって刺激的でないと言ってしまえばそうなのかもしれません。先月私が風邪でダウンした時に、ヘッドホンで大好きなlimpというバンドの音楽を聞いていてよけい具合が悪くなりそうで途中で聞くのを止めましたが、クラシック音楽を癒し系と表現するのをきらっている自分でも、長い事失われずに連綿と続いてきたこのクラシカルな音楽は頭や体が自然に求めている音なのではないかと感じる時があります。ただよく考えてみれば、モーツアルトはその時代の人々からしたら新しくてワクワクするような音楽だった訳で、その後に続く作曲家達の音楽もそれぞれその時代の人にとって常に新しくてとても刺激的な音だった訳ですよね。今の時代の現代音楽に関しては私はあまり語るだけの知識がないですし、正直言ってあまり好きとは言えませんので話せないのですが、いわゆるクラシック音楽と今現在言われている音楽は、はっきり過去の作曲者達のものですからそれをどう今の方達に聞いてもらうか、どう残していくのかというのはとても難しい問題だと感じています。音楽がこの世の中になかったらきっと生きていけないだろうと思うくらい、御飯を食べる事や眠る事と同じくらい私にとっては大切な事なのですが、過去の偉大な作曲家が作った本当に美しい音楽、素晴らしい音楽がせっかくここまで残ったのですから、どうかこの先も音の中の一つの選択肢としてでいいので残っていく事を心から願いたいと思います。

竹松舞

(2001.7.19掲載)

 

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