舞さんからのメッセージ
 

 

 舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2003年6月11日掲載分)です。

 

 

 太陽の光を浴びて、ますます輝き、誇らしげに「つん」と顎をあげていたバラの花が、この頃お日様に焦げてしまったように、燃えかすの色になって花弁を落としてきました。だからって死んでしまった訳ではなく、次に咲く為のとても大切な過程を経ているだけです。一年でたった一日しか咲かない花も、残りの日はずっとその日の為の準備をしています。離れて愛でている私には、花の為に残りの日があるように見えますが、本当はどこに、最も大切な日があるのか分かりません。きっとお芝居で舞台に立つ人もバレリーナもお仕事でプレゼンテーションをする人も、「分かった!」とか「これだー!」と、お披露目の前に既に、ピカット光る一瞬があるのかもしれません。
 とうとう6月です。先日、夏休みに実験助手のような形でボストンの大学に3週間程、お勉強をさせてもらいに行ける事に決まり、3つの演奏会、レコーディングの一部、を合わせて8月の終わりから始まる試験前まで、どうやってやり抜くか、まった無しの時間帯に入ってきました。あまり細かく考えると背中の方がちょっと寒くなってくるので、とにかく前だけ向いて全力で駆け抜けるつもりになっています。とは言え、まだ新しい曲は自分の中でぼんやりとした輪郭をまだ鮮明に描き出す作業の途中で、不安と焦りの気持ちが起きるのを押さえ込む特効薬はやはり練習ですね。毎日、毎日、ハープに向かうのが一番です。
 先日、法医学の授業で、色々な傷痕の写真を見せてもらって、どういう凶器がどんな傷を作るか勉強しました。写真を見て、これだけ、当然のように傷跡を持った人の死体があるという事実が、とても恐ろしい事に感じました。それから、指紋を取る時のアルミニウムの粉を初めて触ったのですが、本当に銀色の粉がこまかくて、指によく付くので驚きました。
 友達同士でやった採血も前に比べると、少し上手くなったかもしれません。こんな時は、前にフランスのパイヤール室内管弦楽団の人達と週末に大阪、九州など回っている頃の苦い経験を思い出します。コンサートの合間の実習で採血の直後、何を思ったか私は腕をもんでしまい、青黒い染みが腕に広がって、コンサートの時にファンデーションで必死に隠したのですが、隠れず、内側が青黒く腫れた腕でドビュッシーやラベルを弾いたものです(笑)。これでは、お客様に失礼ですよね。
 小児科の病院の実習の一日目が終わりました。
 小さい子って本当に可愛いです。私達が居ていつもと違う事で、はにかんで、やたらクネクネする子や、饒舌になる子、診察を受けに来た兄弟についてきて、こちらにまで黙って会釈をする、しっかり者のお兄ちゃんまで居ました。お父さんのタバコを食べてしまった子や水虫薬のダマリンで口の周りをべたべたにした子など、大人では考えられない事をしてくれるのが、世のお子様達です。それにしても、どうして小児科の先生達はあんなにプクプクの手にすっと針を上手に刺すのでしょうか。芸術的でさえあります。
 我家で一番若い龍之介君も毎日元気です。暑い日はちよっと、だれ気味ですが、朝夕は家の前を通る人に盛んに愛想を振りまいております。暇な時は花の匂いを嗅ぎ、ちょっと舐めて最後にちょっと片足を上げて、例の物をかけて暇つぶしをしております。それでも暇な時は独りで草の上にゴロンと転がってお腹を太陽に向け、空気とじゃれております。それでも暇な時はMINEと書かれたぶっそうな角がいっぱい出た地雷型のピンクのボールをキュキュー言わせて一人で噛んでおります。これは転がりすぎなくていい形なんだそうです。不謹慎な玩具ですみません。
 学会のバイトってどんな事をするのでしょうか?時給は高いんでしょうか?途中、意識がなくなるくらい眠っちゃってもバイト代出ますか?お暇があったら教えて下さい。
 それでは今日はこの辺で失礼します。

竹松 舞

(2003.6.11掲載)

 

掲載済みのメッセージ

2003.5.20 2003.5.7 2003.4.24

2003.4.10 2003.3.21 2003.2.28 2003.1.29 2003.1.21 2003.1.7

2002年掲載分

2001年掲載分


舞さんへの質問・メッセージは、掲示板またはメール送信用ページをご利用ください。

 

 トップページへ