舞さんからのメッセージ
 

 

 舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2006年5月5日掲載分)です。

 

 

 先日までニューヨークにいました。ニューヨークはまだ寒くて、毎日冷たく吹き付 ける風で、顔に霜が降りそうでした。意外にもそこはわんこ達であふれるパラダイス でした。
 セントラルパークの近くの住宅街の辺りから、マンハッタン島を毎日北上して地下鉄 でコロンビア大学の病院に通いました。地下鉄はやはり最近とても安全になったよう でかなり安心して乗れます。至る駅のホームや車内では様々なミュージシャンによる パフォーマンスが繰り広げられ、まさにエンターテインメントの街でした。

 かなり印象的だったのは、日本でのほほんと暮らしていたらふっと忘れてしまう程の 感覚でしかない、人種というくくりでした。アメリカの中でも特にニューヨークはそ れが色濃いところのようですが、病院に行っても医者達は実に様々な国の出身者の集 まりでした。ドイツ、チェコ、ギリシャ、スペイン、インド…と、むしろ純粋なアメ リカ人を見つける方が困難なくらいです。当然、患者も多国籍です。陪席させてもらっ た外来ではほとんど全員の患者さんとの間に通訳が入ります。

 コロンビア大学はクリントン大統領が心臓のバイパス手術を受けたところで、週に何 件も心臓の移植手術が行われています。私の滞在中も幸運な事に移植があり、見学さ せて頂くことができました。ドナーは16歳の男の子。銃で頭を打たれたのだそうです。 ショックでした。平和な日本でぼけぎみだった私にはあまりに衝撃的な日常でした。 ただ、言えることは彼等と我々では人のからだに対する認識が違うのだと言う事。人 は命を終えたら、そのからだはもう抜け殻でしかないという考え方。それは私もよく わかります。だけどきっと頭のなかでだけなんです。そんなにさっぱりと切り替えら れません。ごちゃごちゃと考えながら、冷え冷えとする手術室でとんでもなく近くで 生まれて始めての手術を見させて頂きました。夜中の11時過ぎに始まり、終わったの は朝の5時ちかくでした。なんであれこの新しい体験は私の中に新しい種を落としま した。小さいけれど熱い熱の固まりのような種です。いつでも今日という日を雑に描 きなぐらずにきちんと描き切っていきたい(いけたらいいなあ〜)と思う私でした。 ではでは。

竹松 舞

(2006.5.5掲載)(1)

 「龍ちゃん櫻が綺麗だね」と言うと、龍之介はちょっと首を傾げて、2、3度ゆっく り瞬きをする。多分、私が言っている意味が分からなくて困っているのだろう。龍之 介には櫻より菜の花が似合う。日の光がこぼれた場所に空を見ながら笑って咲いてい る菜の花が似合う。長くて十数年の命なのだから、このワンコもずっと笑って咲いて いて欲しい。去年の冬、龍之介は、チューリップの球根をくわえて逃げて2、3個自 分の物にしてしまった。それでも彼の毒牙から逃れた物は今一生懸命花を咲かせてい る。生きているものは、みんなけなげだ。花も木も動物も、みんな健気でいじらしい。 最近、私は龍之介からシャンプーの匂いではなくて、犬らしい彼本来の匂いを嗅いだ 瞬間、たまらなく愛しいと思う。しばらく弟の大好きな春だ。素敵な春だ。

竹松 舞

(2006.5.5掲載)(2)

 

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