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舞さんからファンのみなさんへのメッセージ(2004年8月6日掲載分)です。
木立の中に入ると、虫の声が頭の上に降ってきます。暑い空気を揺らしながら、まる で、日の光に挑むような鳴き方です。今を限りの駆け引きの無い精一杯の声です。そ う言えば、先日、「美の巨人達」で写真家、土門拳さんが撮られた子供の写真を見た 時にも同じような感じを受けました。戦後間も無い頃の子供達を撮った素晴らしくい い写真でした。その一瞬一瞬に完全燃焼している顔です。明け透けで、無防備で、精 一杯で、「全部」の顔です。一人一人の子供の顔は誰にも真似のできないその子だけ の表情で輝いています。こんな写真一枚が、なんて多くの事を語るのだろうと不思議 にさえ思いました。全く違う次元ですが、幸せって、与えられ、満たされるという「 される」ものではなくて、自分で見つける小さなものの積み重ねで、できているんだ と改めて気付きました。人がどう思おうと関係なく嬉しい時って自分が嬉しいんです。 当たり前だけど、そうなんです。話しが脱線していきますが、幸せと言えば、人の笑 顔の持つ力も凄いものがあります。私は人の笑顔に何度も溶かされています(笑)。 このパワーはかなりのものです。人と擦れ違う時、できたら笑顔でお願いします。私 みたいに、嬉しくなる人が沢山いますから。喜んだ人が又笑顔を返してくれますから。 そして幸せの空気がそこいら中に広がっていきます。
私は米国に行く準備であたふたしております。行くって言っても、一ヵ月にも満たな い期間ではありますが・・。ハープを借りるという面倒な作業のおかげで、先方との やりとりを繰り返しています。今回は私の持っているハープのメーカーから借りる事 になりました。シカゴ(ライオンヒーリというハープのメーカーがあります)からセ ントルイスまでの運搬は別の専門業者がやってくれるので、そことのやりとりもあり ます。つくづく自分で運べる楽器が羨ましいと思う今日この頃です。更に私は抜けて いて、パスポートの期限が切れている事をすっかり忘れていました。最終的には間に 合う時期に気付いてセーフでしたが・・。
今回は大学の寮に泊まる事になります。大学の寮と言っても一年生の時経験したよう な感じとは大分違います。ホテルと同じとまではいきませんが、かなりきちんとして います。子供の頃、親の用にくっついて行って、スタンフォード大学の寮に泊まった 事があります。清潔で不便はなかったように思います。スタンフォードはサンフラン シスコの郊外で、電車で一時間くらいの所にあります。結局、寮が一番便利な場所だっ たので、そこに泊まったというわけです。今回もなんと言っても病院が近くて便利で す。ワシントン大学と言いながら、メディカルスクールだけはセントルイスにぽつん と離れてあります。ですから寮に長期滞在している他の人も病院関係者という事です。 ただし、不便な点もいくつかあって、バスルームが部屋に付いている所はすでに、別 の人達が数カ月先まで利用している為借りられませんでした。電話も部屋にはありま せん。そのあたりはちょっと面倒そうです。
今回、臨床の勉強も沢山させてもらえるという事なので、楽しみだったり、緊張した りします。パトリックに言われて、聴診器を購入しました。大学ではもうすぐ、他の 物と一緒にセットで買う事になっていたのですが、急きょ聴診器だけ手に入れました。 聴診器と言っても、ぴんからきりまであります。私達が使うのは、中くらいの精度の ものですが、看護師さんが持っている可愛い感じの物から(ピンクのものもあります) かなり高い精度で音がとれるお値段のはるものまであります。私が買ったのは、後で 学校で買うのと同じ精度のもので、一万数千円くらいの聴診器です。耳に当てて早速 心臓の音を聞いてみると、びっくりする程、音をひろいます。考えていたものよりずっ と良く聞こえるので、ちょっと感動しています。
今回も小児の心臓疾患の外来を見せてもらう事になり、又その先天性の疾患の研究の 為の実験を続きでやります。こんな事をしていると、将来心臓の方に進みたくなるの ではないかとも思っています。
話しは戻ってしまいますが、学生の時は各科全て勉強するので、全員、聴診器も買わ されますが、将来、ほんとうに聴診器を必要とする人はそんなに多くはないと思いま す。
という訳でこの夏はセントルイスで、ジャズではなくて心臓の音を沢山聴いてきます。
ハープはその後レコーディングの話しをきちんと詰めなくてはいけないので、頭の中 にビジョンを持って、何をやりたいかを明確にしたいと思っています。その上で、素 晴らしいディレクターさんと一緒にいいものをつくりたいと思います。ディレクター さんは感度の素晴らしい聴診器みたいに、いい耳をしています(笑)。
それでは、暑い夏に負けないように、お過ごし下さい。
帰ってきたら、直ぐ試験、直ぐ演奏会だ〜(汗)。竹松 舞
(2004.8.6掲載)
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