クローズアップ人体(5)(肝臓のはなし)

 肝臓をいたぶっている人、いませんか?
 レバーは好きだけどぉ〜、とか屁理屈を言う人はきっとお酒がすきなので現行犯でしょ う(笑)。
 肝臓、と聞くとこのようにアルコールのイメージがつきまといますが、肝臓はアルコ ールの処理だけをもくもくとやっているわけではないのです。もっと働きものなんで すよ。

 肝臓はわたしたちのためにタンパク質を作ってくれます。タンパク質が血液中にある おかげで水分が血管の外へ出ていってしまわないのです。ですから肝臓を悪くすると お腹に水が溜ってしまう事があります。

 肝臓はちゃんと後片付けまでできる子です。自分で作ったタンパク質は自分でちゃん と処理します。みなさんご存知の通り、タンパク質が分解されるとアミノ酸になりま すが、アミノ酸は有害なアンモニアに変わりうるアミノ基を持っています。肝臓はそ のアミノ基を害のない尿素に早変わりさせてしまうのです。ちなみに水の中で暮らす 魚たちはおしっこしても水の中なのでアンモニアのまま排出しています。

 助かりますねえ。彼は何一つ文句を言わず、こんなにもわたしたちのために働いてく れているのです。わたしにはわたしだけの、みなさんにはみなさんだけの肝臓がある のですね。なんだか不思議です。肝臓だけじゃなくって心臓や肺、腎臓がそれぞれの 役割を持ってこのお腹に納まって、わたしたちには知り尽くせない程の複雑な仕事を 今この瞬間もこなしているのです。
(続く)

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