新盤「バヴァーヌ」が好評
ハープ奏者 竹松舞
時に軽やかに、時に深々とした呼吸で、全身を使い、弦を弾く。やさしく心地よい響きが
聴くものの鼓動に寄り添うように語りかける。初々しい喜びの歌も、もの悲しい秋の調べも−。
竹松舞、若き人気ハープ奏者。現役の医大生でもある。愛くるしい瞳の奥に、柔軟にして
旺盛な探究心の光を宿す。
親しみやすい、美しく多彩な12曲を収めた新盤「パヴァーヌ」(日本コロムビア)が好評だ。
バーバー、サン=サーンス、ラフマニノフにジョージ・ハリスン・・・・・・どれも“非ハープ作品”
ばかりの意欲作。井上鑑が編曲を手がけた。
「井上さんが調味料いっぱいに味付けしたら、とてもおいしかった(笑い)。ハープ向きで
はない曲を取り上げるのは苦労もありましたが、今までにないハープの使い方が発見できたり
・・・・・・。選曲は、“旋律の美しさ”“心に訴えかけるもの”に、あくまでこだわりました」
現・日本ハープ協会のヨセフ・モルナール会長に師事したのは9歳の時。先生は、細かい注意は
あまりせず、のびのびと弾かせてくれた。
「“表現できる楽しさ”を教わりました。クラシック曲でも、自分の中の“波”を全面に出し、
ノッて弾くのが大切だと思っています」
音楽と医学の両立−−
果てなき探求に無限の喜び
音楽と医学の両立。忙しいのは苦とは思わない。ともに、突き詰めることに果てのない道だ
からこそ、新しく得られる喜びにも際限がない。
「医学部での勉強や研究は結局、ヒトの体のことを学んでいるんです。つまり人間は、自分の
ことすらよくわかっていない。音楽も医学も、自分の中にあるものを考察していく必要があります。
そこに大きな魅力を感じているのです」
解剖の検体となるウサギにも感謝の気持ちを忘れない。厳かさを痛感させられる生々しい体験の
たびに、たくさんのことが頭をよぎる。
「私の通う順天堂大は、もともと日本で一番歴史のある私立の病院。たとえ完治が難しくても
最大限の手を尽くすというのが伝統精神です。その長い歴史の線上に、わずか“点”かもしれない
けれど私はいるのだから、自分のできる精いっぱいのことをしたいと思います」
=平成14年9月30日(月)付 聖教新聞「芸能のページ」より転載=
(聖教新聞社より転載の許諾済)
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