そう、その出産ですが、赤ちゃんのデビューに相応しく、ベビーはターンしながら出
て来ます。そのターンもちゃんと頭の向きや回転するタイミングが決まっているので
す。子宮からの道のりは平たんではなく、通路の幅や形がお母さんのお腹の高さによっ
て微妙に違います。通路が横長の時は赤ちゃんは横を向き、顎をひいてできるだけ小
さい面積で道を通ろうとするのです。下に降りつつ、通路が円形になると赤ちゃんは
頭をまっすぐにしてお母さんの骨盤の突起にぶつからないようにします。そしてつい
にゴール地点で顎をぐいともちあげて顔を出すという訳です。
と、今まで赤ちゃん赤ちゃんと言ってきましたが、そもそも赤ちゃんというのは生ま
れた時に顔が赤いから赤ちゃんというのであって生まれる前は赤ちゃんじゃないので
すが、まあ細かい事はいいですよね。
でも、ここで気は抜けません。赤ちゃんがおぎゃーと泣いてくれなきゃ困りますね。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時はへその緒を通して酸素をもらっていました
が、外界に出ると、赤ちゃんの血中の酸素濃度の低下と二酸化炭素の濃度の上昇が刺
激となってデビュー初の呼吸をします。ですからお母さんにおへそから酸素のお世話
をしてもらっている間は赤ちゃんの首にへその緒が巻き付いていても赤ちゃんは苦し
くないのですよ。私の友達も授業中に「あたし、へその緒が首に三重巻きだったらし
い」ときいてもいないのにおしえてくれました。逆に首に巻き付いていなくたってへ
その緒自体がねじれちゃってる方がまずいのです。酸素がスムーズに送られてこなく
なってしまいますからね。
しかしながら、赤ちゃんの第一呼吸が危険な場合もあります。赤ちゃんはお腹の中に
いる間はうんちをせずにためていますが、子宮の中で低酸素症になると赤ちゃんは子
宮の中でこれを排泄してしまうのです。そうすると口の中に入ったうんち混じりの羊
水を、外に出た途端に呼吸によって吸い込んでしまう危険性があります。もし吸い込
んでしまうと肺に便が入ってしまってうまくガス交換ができなくなるのです。ですか
ら治療としてはできれば第一呼吸をする前に便の吸引と洗浄をしてあげます。この状
態は赤ちゃんが低酸素症になりやすい過期産(予定日より二週間以上遅れる)に多く
なります。
それに対して、赤ちゃんが早めに生まれてしまっても呼吸によくない事がおきる可能
性があります。なぜかと言うと、赤ちゃんの体の中で最も遅く出来上がる器官が肺で、
その中でも重要なのはサーファクタントといって肺が縮まろうとする表面張力に対抗
して肺を潰さないようにする物質の合成です。
これが出来上がるのは妊娠の35週頃で、サーファクタントが出来ないうちに生まれて
しまうと、赤ちゃんが呼吸で息を吐いた時に肺胞が表面張力に負けて潰れてしまうた
めにベビーは正常の呼吸が出来ずに呼吸困難に陥ってしまうのです。
このように小児科や産婦人科の勉強をしているといろいろな病態があって、よく自分
は無事に産まれてこられたなぁとしみじみ思います。
神様とお母さまに感謝。アーメン。
(2004.6.28掲載)
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