ホルモンの話をします。フェロモンじゃありません。残念ながら。
ホルモンと言ってもたくさんあります。脳から出るホルモン、甲状腺から出るホルモ
ン、副甲状腺から出るホルモン、副腎から出るホルモン、精巣・卵巣から出るホルモ
ンなどがあります。ホルモンは出た場所からたいてい遠く離れたところに作用します。
これら全部について書きたいところですが、かなりややこしくなってしまいそうなの
で、今回はみなさんにおなじみのホルモンをピックアップして進めていこうと思いま
す。
では脳から出るホルモンから。代表的な成長ホルモンについてちょっとお話します。
成長ホルモン。ぱっと聞くと、成長するならいいじゃんって思いますよね。ところが、
ホルモンというのは出過ぎたら困るんです。フェロモンとは違うんです。成長ホルモ
ンが出過ぎたら大きくなります。当たり前ですね。でも出る時期によって効果が変わっ
てきます。若い時期で、まだ骨が縦に伸びようとしているときだとひたすら大きい巨
人症に、骨がもはや長くなろうとはしなくなってからですと縦軸方向への成長が制限
され、伸びたいのに伸びられなくて末端肥大症となります。
この辺りのことはみなさんよく御存じと思います。でもこのホルモン、たくさん出る
と体が大きくなるだけじゃないんです。内臓も大きくなってしまうんです。心臓や腎
臓、甲状腺が肥大します。また顔では顎や眉弓はもちろんのこと、くちびるや舌、鼻
や耳も大きくなるのです。
ではどうして成長ホルモンが出過ぎてしまうのでしょう?たいていはこれを分泌する
細胞が腫瘍化し増えてしまうのが原因です。こんな厄介な腫瘍はいらないので治療は
腫瘍の摘出術です。でもあんまり厄介者扱いしちゃいけませんね。最近では成長ホル
モンは脂肪の代謝にも大きく関わっているらしい事がわかってきています。成長ホル
モンが足りないと血中コレステロール値が高くなってしまったりするのです。その証
拠に成長ホルモンが足りない低身長症(小人症)
の患者さんでは心筋梗塞や脳梗塞などの血管病変による死亡率が高くなるようです。
血管病変の原因となるのは高コレステロール血症です。
このために高コレステロール血症の方に成長ホルモンを投与する治療法などが出て来
ています。ただ、患者さんは大人の方が多いので大人に使うものに「成長」ホルモン
というのもどうかというので別名のソマトメジンという呼び方で統一させようという
考え方が主流になってきているようです。